『さがりばな』横塚 眞己人

  • 2013.06.08 Saturday
  • 21:57
今年の6月は、あまり梅雨らしくなく、このまま夏になってしまいそうですね。一足早く、夏の夜にぴったりな写真絵本はいかがでしょうか。



「さがりばな」なんて名前、この絵本で初めて知りました。名前のとおり、下にすーっと垂れた枝に、ふわふわした花がたくさん咲いています。

川岸近くに育つこの花は、見られるのは6月下旬から7月中旬くらい。日本の場合は、奄美大島以南でしか見れないそうですよ。

花が咲くのは夏の夜。一本の赤いめしべが顔を出して、その後にたくさんの白いおしべが開いていきます。ふわふわしたものの正体は、花弁ではなく、おしべだったのですね。ちなみに「がく」のように見える部分が花弁です。

さらさらと流れる夜の川に、浮かび上がった白い花。花が開くと漂うという甘い香りも幻想的。さがりばなの素敵な姿、実はこれだけではありません。もう一つ、とっておきの風景があるんです。

一夜限りの花は朝方になると、一つまた一つと、花ごと落ちていくのです。めしべだけを枝に残して。川に落ちた綿毛のような花は、川面を漂い、いちめんに広がります。想像するだけでも、素敵な感じではないですか。

虫たちにより受粉を完成させたおしべは役目を終え、枝からはなれました。枝に残っためしべは、実を結び、その実がぽとんと落ちて、川の流れでどこかに運ばれていきます。まさに生命の循環。

写真だけでも充分に美しいのですが、こんな幻想的な風景、実際に見てみたい!と思ったら、西表島でのツアーなんていかがでしょう。いろいろあるようですよ。

ただ花を見に行くだけの旅行、贅沢でいいなあ。

*『さがりばな』
横塚 眞己人
講談社(2011年刊行)

『はるにれ』姉崎一馬(写真)

  • 2013.04.12 Friday
  • 21:57
なんだか疲れていて、活字が読めないということってありませんか?読んでみても内容が全く頭に入ってこないというか・・・。

今週はそんな状況にはまってしまった私です。こういう時は潔く読むのをやめて、写真絵本を眺めます。意外ですが、こんな時の写真絵本(または写真集)は、いつもより感性に響く感じなんです。



写真で綴る春楡の四季。秋の夕暮れに始まり、厳しい冬が到来。芽吹きはじめる春に、青々とした葉が茂る夏。ただそれだけなんですが、繰り返しページを眺めたくなるのです。本当に不思議な絵本。

草原に一本だけ立っているので、寂しそうに見えるとか、冬は寒さが厳しいので、辛そうだとか、そういう単純な印象は、なぜか受けません。

むしろ、冬はこういうものだし、春はこんな感じでしょう?と、木に言われている感じ。枝、一本一本に雪を載せた姿はとてもきれいで、過酷な寒さまで、自分のものにしてしまっているという雰囲気。

周囲の環境に順応して生きているというよりも、自分自身の強い生命力で生きている。どこか自由で飄々とした生き方に見えて、思わず何度も読み返してしまうのかもしれませんね。

今週はちょっと引っかかったことがあったのですが、これでリセット!
来週からは、また新作絵本をお店にアップしますね。

*『はるにれ』
姉崎 一馬(写真)
福音館書店(1981年刊行)

『クリスマス・クリスマス』角野 栄子

  • 2012.12.14 Friday
  • 18:08
クリスマスの絵本ばかりでは飽きてしまうかな、と思ったのですが、この絵本は為になることが満載だったので、紹介してしまいます!作者は『魔女の宅急便』でもおなじみの角野 栄子さんです。



そもそもクリスマスってどんなもの?という疑問から、世界各地のクリスマスを作者本人が取材し、写真と一緒に解説していくという内容。北欧はもちろん、アメリカ、オーストラリアまで足を伸ばしています。

さらっと書いてあった、クリスマスツリーにさげる飾りについてが衝撃的。大昔のケルト人たちは、冬でも緑を失わない木々には神や精霊が宿っていると信じていたそうで、捧げものとして人間や動物をいけにえにして木にぶら下げたりしていたという・・・。ひぃぃぃっ!!!
りんごや人形をツリーに飾るのはそのなごりだとか。

この他、日本のなまはげにそっくりな「むちうちおじさん(むちを持っていて、悪い子は袋につめられさらわれてしまう)」などの紹介もあります。

もちろん、怖いものばかりでなく、おいしいそうなクリスマスの伝統料理や北欧にあるサンタクロースの家のことも詳細に書かれていますよ。

欧米人がプレゼントの包装紙をビリビリにやぶる理由にも納得です。待ちきれないほどうれしいという気持ちを表す礼儀作法とは!

余談ですが、出先で耳にした会話。年配の男性上司が部下の男性(40代半ばくらい?)に、独身の人にクリスマスに仕事を頼むのはなあ、と言ったところ、もうそんな年ではないですから・・・と答えていた部下の方。この気遣いは、ある意味日本独特のクリスマス文化ですよね。

たくさんあるクリスマス絵本。たまにはこんな絵本もおすすめです。

*『クリスマス・クリスマス』
角野 栄子(作)
福音館書店(1992年刊行)※現在は絶版のようです。

『干し柿』西村 豊

  • 2012.12.04 Tuesday
  • 21:24
ほんとうは11月中に紹介しようと思っていたのですが、今になってしまいました。これからの季節の食べ物「干し柿」の絵本です。



数えきれないほど並んだ柿。オレンジのすだれに圧倒されます。思わず甘い柿の味を想像してしまいますが、干し柿にするのは渋柿。渋い柿をおいしい柿にして食べようとした昔の人の知恵はすごいですね。

干し柿を出荷している方のお宅の作業風景では、軒先に何千という数の干し柿。一面のオレンジ色は壮観。干すまでも大変でしょうが、干してからも大変。雨に濡れないようにしたり、途中に手でもんだり、結構手間ひまかかっています。

実家でもよく干し柿を作っていた気がしますが、あまり上手くできた記憶がないんですよね。ただ干しているだけではダメみたいです。

そういえば、子供の頃の夏休みの義務といえば「梅干し」の世話。天日に干した梅干しを裏返さなくてはいけなかったのは、ちょっとつらい作業でした。私は超がつくほど梅干しが苦手なもので、ぶよぶよした感触もどうにも好きになれなかったんですよ。たまに中身が飛び出していたりするし。

そういう私でも、昔は見向きもしなかったドライフルーツが、おいしく感じられるようになってきました(乾燥イモなんかも結構いける)。これも年なんでしょうかね。

こちらの絵本【中古】はお店でも扱っています。こちらからどうぞ。

*『干し柿』
西村 豊(写真・文)
あかね書房(2006年刊行)

『草と木で包む』U. G. サトー/後藤 九/酒井 道一

  • 2012.11.18 Sunday
  • 21:47
海外の方々に日本を紹介するための資料として購入しました。随分前のことです。風呂敷やら紙工芸品などは、迷わずプレゼントしてしまうのですが、この本だけは手放せず、手元に置いてあります。



タイトルどおり、「包む」ということに着目した絵本です。風呂敷や祝儀袋からも日本は「包む文化」と言われますよね。
ここでは、布もちょっとは出てきますが、「草や木」で包むというのがポイントです。



写真は、山形地方に伝わる「卵つと(たまごつと)」と呼ばれる包み方。(あまり内容は画像で紹介すべきではないのでしょうが、表紙からではわからないと思うのでちょっとだけ。)
持ち運びや保存のために考案されたのでしょうが、美しい包み方にうっとり。

この他、笹の葉をでくるまれた「ちまき」や、竹筒が入れ物になった「はもずし」など、伝統文化に根付いた包み方が紹介されています。

残念ながらこの絵本は、ハードカバーにはなっておらず、雑誌のみの刊行だった様子。読みたい方は古書で探してみてください。

*『草と木で包む』月刊たくさんのふしぎ
U. G. サトー(文と絵) 後藤 九/酒井 道一(写真)
福音館書店(2000年刊行)

『みずたまレンズ』今森 光彦

  • 2012.10.07 Sunday
  • 20:00
子供の時、庭先の野菜畑には興味はなかったのですが、「サトイモ」の葉っぱだけは好きでした。つるつるした葉っぱの上で、水滴が水の玉になって滑るのがすごく不思議で。今日の絵本は、身近な自然の不思議に注目した絵本です。



雨の日に外を眺めてみると、意外とたくさんある、いつもと違うもの。雨粒できらきらした蜘蛛の巣や、草花についた水滴など、普段なら見過ごしてしまうものが、今日の絵本の主役です。

拡大して見ていくと、水滴はそれなりに大きい「水の玉」。葉っぱや茎の上では、こんな風に粒になっていたのか、と今更ながら納得。作者はもう一歩踏み込んで、その粒がレンズのように見える不思議な世界を見せてくれています。

雨だと聞くと「洗濯物乾かない」「出かけるの面倒だな」とか思ってしまうのは、大人としては当然の反応。だけど、ちょっと視点を変えてみるのも悪くないですよ。

*『みずたまレンズ』
今森 光彦(作)
福音館書店(雑誌版 2000年刊行)
現在は「かがくのとも傑作集(ハードカバー)」として出版されています。

『AはアフリカのA』イフェオマ・オニェフル(作・写真)

  • 2012.09.05 Wednesday
  • 18:38
「写真絵本」は日本には、わりとあるのですが、海外の作品ではなかなか見つからないのです。今日の絵本は、海外の作品の中でも「写真」と「絵本」の要素がしっかり組合わさった一冊。



「BはビーズのB」「CはカヌーのC」・・・「IはインディゴのI」と、アルファベットでたどりながらアフリカの文化に触れられていきます。

写真の風景はナイジェリア。よーく見てみると、同じナイジェリアの中でも、宗教や衣装、日常がエリアによって違うことがわかります。

同じ作者の作品で『おとうとは青が好き』というのもありまして、こちらは色でナイジェリアの文化を紹介。どちらも素敵な作品ですよ。

*『AはアフリカのA』
イフェオマ・オニェフル(作・写真) さくま ゆみこ(訳)
偕成社(2001年刊行)

『みんなのかお』さとう あきら/とだ きょうこ

  • 2012.08.13 Monday
  • 20:39
先日、久しぶりに図書館に行きましたら・・・この顔と目が合ってしまって、うちに連れてきました。



ウォンバットです。実物大らしく、私の顔より大きい。子犬くらいの大きさだと思っていたけれど、これだと子ブタぐらいありそう・・・。

この絵本は、動物図鑑なのですが、切り口が変わっているんです。24種類の動物をそれぞれ21匹ずつ顔を比較してみた、という絵本。カワウソもレッサーパンダも21匹見れます。(残念ながらウォンバットは表紙のみ登場!)

人間にそれぞれ個性があるように、動物もそれぞれ顔が違うんですね。ゾウやトラに違いがあるなんて考えたことなかった。

とぼけた顔のウォンバットだけれど、仲間うちでは、超美形でスーパーモデルかもしれないです。

*『みんなのかお』
さとう あきら(写真) とだ きょうこ(文)
福音館書店(1994年刊行)

『あ』大槻あかね

  • 2012.07.31 Tuesday
  • 23:26
本を読む気も失せるくらいの暑さですね、このところ。
こんな時は、小難しい本よりも、「あはは。」と笑える脱力系の本がおすすめです。



主人公は「はりがねくん」。勝手にそう呼びますが、彼は行った先で何かを見つけて、「あ」と立ち止まる。見つけたものが、コップだったり、ポットだったり、綿棒だったりするのですが、見つけた後のリアクションが、単純だけど笑える・・・。
耳かきを見つけて、梵天(先のふわふわ部分)に「はぁ」と顔を埋めているのが、私のお気に入り。

ちなみに彼は、「あ」とか「ひょ」とか、そんな言葉しか発しません。
ほどほどにだらだらして、夏を乗り切りましょう!

*『あ』
大槻 あかね(作)
福音館書店(2005年刊行)

『モグラの生活』飯島 正宏

  • 2012.07.23 Monday
  • 21:00
先週、テレビをつけたら、旅番組が放送されてました。のんびりしたラオスの朝市の風景。野菜や食料品の他に売られていたのは、むくむくした黒い生き物。
お店の人いわく「モグラ」とのことで、「ペットにしてもいいし、食べてもいい」らしい。ここまでは、まあ想定内。最後の一言が「放し飼いにしてもいい」。放し飼いって・・・。ちゃんと戻ってくるのだろうか。



ラオスの話はさておき、この絵本は、なかなか見れない「モグラ」の生活を、著者が6年もかけてまとめたもの。すごい!途中、いっしょに生態を追うことになった大学の先生も強者。今まで100個以上のモグラの巣を見つけてきたという。
膨大な時間と労力、こだわりの集大成。必見です。

*『モグラの生活』
飯島 正宏(写真・著)
福音館書店(2010年刊行)

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