『商人とオウム』ペルシャのおはなし

  • 2013.09.15 Sunday
  • 21:22
このところ良い意味で忙しく、すっかりブログがご無沙汰してしまいました。来週からはちゃんとペースを戻して行きます。

いつも欧米のお話が多いので、今日は中東、ペルシャのお話です。



昔々のお話です。ペルシャのお金持ちの商人は、言葉も歌も達者なオウムを飼っていました。このオウムの評判で、お店も大繁盛。商人にとっては絶対に手放したくないオウムですが、オウムは故郷のインドに帰りたくて仕方ありません。

ある時、商人は、インドへ商品買い付けの旅へ出かけます。家族からは絹や宝石のお土産のリクエスト。オウムはお土産の代わりに、森にいる仲間のオウムへ言付けを頼みます。「みんなともう一度、空を飛びたいが、今はカゴの中にいる」と。

インドに着いた商人は、お店の品物やお土産をたっぷり買い込みます。帰り道に森の中を通ると、そこにはたくさんのオウムたち。早速、呼びかけると、オウムたちは集まってきました。

オウムからのメッセージを商人は伝えます。じっと聞き入るオウムたち。そして商人が伝え終わった瞬間、驚きの出来事が・・・。

オウムが一羽また一羽と、枝から落ちて、ぴくりとも動かなくなったのです。商人からしたら、不気味な出来事で後味が悪いですよね。オウムたちをそのままに彼は家路につきます。

気は進まないながらも、インドのオウムたちとの出来事を、カゴの中のオウムに話した商人。聞き終えたオウムにも、なんと同じ出来事が起こります。

あんまり種明かしをしてしまうと面白くないのですが、仲間のオウムたちが、体を張って伝えたかったメッセージは「死んだふり」。死んだと思ったオウムを、普通なら人はどうするでしょう?

まずはカゴから出して、様子を確かめようとしますよね。この後は想像がつくと思いますが、オウムにとってはハッピーエンドとなるお話です。

このお話は、ペルシャの有名な詩人、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩をもとに作られたものです。この絵本は、現代の作家が再話して、英語圏で出版されたもの。それの日本語版です。

イランでは同じお話が、このような版で出ています。全くイメージが違いますが、いかにもペルシャっぽいですね。



こちらのものは、かなりレトロなイラストで綴られています。ティーハウススタイルというイランの古い絵画手法です。

お話を絵にして、ティーハウスの壁にずらりと描いたというと、わかりやすいでしょうか。充分に美しい絵だと思うのですが、こういう場所に描く絵師は、宮廷で活躍するような絵師ではない立場だったようで、少し寂しさも感じます。

ご興味のある方は、ペルシャ語版はお店でも扱っていますので、こちらからどうぞ。

*『商人とオウム』
ミーナ・ジャバアービン(作) ブルース・ホワットリー(絵)
青山 南(訳)
光村教育図書(2012年刊行)

*The Merchant and the Parrot
Author: Marjan Fouladvand
Illustrator: Ahmad Khalili
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