『おそとがきえた!』角野 栄子/市川 里美

  • 2013.11.23 Saturday
  • 23:54
日差しが恋しい季節。窓辺で日向ぼっこは至福の時ですよね。でも、もし窓はあっても、ほとんど日が入ってこなかったら・・・それはとても悲しいかも。



小さな家に住むチラさんはおばあさん。ねこちゃんと一緒に穏やかな毎日を送っています。小さなおうちは、窓もいっぱいあって心地よさそう。でも実際は、高い建物に囲まれて、空も見えなくて一日中暗いんです。

そういうわけでチラさんは、住宅抽選へのハガキを何度も出しています。でも一度もあたりません。「あたるわけないわ。」と言うチラさんにを励ますねこちゃん。「出さないと当たりませんよ。」

ある寒い日。チラさんが外を見ると、全く何も見えません。おそとが消えちゃった!と思ったチラさんでしたが、外は深い霧なのでした。

扉をしめて、チラさんはつぶやきます。「おそとなんて消えちゃってもいいわ。」代わりに何を始めたかというと・・・温かい部屋の窓は湯気で曇っています。窓を真っ白いキャンバスに見立てて、お絵描き遊びの始まりです。

チューリップに小鳥にちょうちょ。まるで春の公園のような風景をチラさんとねこちゃんは楽しみます。

そんな冬の日々は過ぎ、春になりました。ポストに何か届いたと思ったら、「住宅当選」のハガキです。

山のおくの新居に引っ越したチラさんとねこちゃん。新居には夜に着いたので、外の様子はわかりません。

翌朝、朝日が差し込み、びっくりして飛び起きたチラさんたち。外に出てみれば、思い描いた通りの風景が広がっているではないですか。窓を拭いても消えない本当のおそと。ようやく二人は手に入れたました。

この絵本は、大人のほうが心に響くと思います。内容もどちらかというと自己啓発の内容に近いのではないかな。希望を持ち続けることや、願えば叶う(引き寄せの法則)という部分は、まさにそう。

そして、周囲が嫌な環境でもそのことばかりを考えない。不平不満をずっと言うのではなく、チラさんたちは毎日を楽しく暮らそうとしています。スープを煮ながら、小声で歌って過ごすのは、引っ越してからも変わらないんですよね。

前向きな気持ち。持ち続けるのは時として難しいときもありますが、意識してでも持ち続けたいものです。

この絵本の表紙は、ちょっと暗めな印象なんですが、市川さんの作品は、他でもおすすめのものがたくさんあるので、またの機会にご紹介しますね。

*『おそとがきえた!』
角野 栄子(作) 市川 里美(絵)
偕成社(2009年刊行)
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