『いのちの木』ブリッタ・テッケントラップ

  • 2014.01.22 Wednesday
  • 22:46
今日の絵本は少々重いテーマです。誰にでも訪れる「死」。その受け止め方を、優しく諭してくれる内容です。絵本だからこそ伝えられるメッセージです。



森に住むキツネは、ある日、お気に入りの場所に一人で出かけていきます。だいぶ年老いていたキツネには死期がわかっていたのでしょう。大好きな場所に体を横たえると、ゆっくり息をはき、まぶたを閉じました。

しんとした静かなその場所に、雪が降り始めます。キツネの様子をずっと見ていたフクロウは、枝から下りると、キツネに寄り添いました。長い間二人は友だちだったからです。お別れの時が近いのも気づいていました。

森の動物たちも次々とやってきて、キツネのそばにじっとしています。フクロウがキツネとの思い出話を始めたのきっかけに、皆がそれぞれの思い出を話しだします。

ふと気づくと、キツネが横たわっていた場所からオレンジの芽。思い出が語られるたびに、どうやら大きくなっていくようです。

時が経つにつれて、どんどんよみがえっていくキツネとの思い出。最初は悲しくて仕方がなかった気持ちも、時とともに変化していきます。思い出がきらきらとしたものに変わっていくのでしょう。オレンジの芽も今では立派な姿の木になっています。

故人が残してくれた思い出が「木」であるなら、それらが皆の心の中で生き続けるのを「木の成長」として例えたのではないかな、と思います。

『わすれられないおくりもの』のストーリーともよく似ていますが、今回の絵本も味わいがあっておすすめです。読後感はそう重くはなりません。鮮やかで柔らかい印象の絵が、良い効果を出しています。

*『いのちの木』
ブリッタ・デッケントラップ(作・絵) 森山 京(訳)
ポプラ社(2013年刊行)
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