『うみべのまちのタッソー』ウィリアム・パパス

  • 2015.03.01 Sunday
  • 21:46

長い間ご無沙汰しておりました。あっという間に3月ですね。まだまだ寒い日は続きますが、ちょっとでもぱっとした気分になれたらな、というわけで、ギリシャが舞台のこんな絵本を取り上げてみました。
 

 


水彩画の色合いも素敵ですが、生き生きとした雰囲気が伝わってくる筆遣いも必見です。人物の描き方も独特で、異国情緒もたっぷりです。

ギリシャの海辺のまちに住むタッソーとアテナは猟師のおとうさんと三人暮らし。貧しいため、兄妹二人は夏休みには食堂で働いているのですが、お兄さんのタッソーはそこでブズキという楽器(マンドリンっぽい?)弾き、妹のアテナは食事を運ぶ係をしています。

タッソーはかなり上手な弾き手で、食堂のお客さんは大喜び。みんなダンスが好きなので、音楽にあわせて飛んだりはねたり。

いつまでも踊っていたいお客さんたちですが、タッソーだって何時間も弾き続けることはできません。タッソーがこれ以上弾けなくなると、お客さんたちも帰り始めます。

食堂のおやじさんには、これはとても悔しいこと。何かいい方法はないかと考えたのが、当時は最新鋭のジュークボックス。

疲れ知らずのジュークボックスは、物珍しさもあって大人気。お客さんもおやじさんも大満足です。途端にお払い箱になってしまったタッソーはがっかりです。

その後の食堂はどうでしょう。一日中鳴り響く音楽にお客さんも町の人々も辟易しています。意に介さないのはおやじさんだけという感じ・・・

お客が来なくなった食堂には、アテナの仕事ももうありません。泣く泣く帰ってきたアテナが見つけたのは、久しぶりに目にしたタッソーの楽器でした。久々にタッソーが弾いてみると、近所の人たちが、一人またひとりと外に出てきました。

いつもの町に戻り、みんな満足。ジュークボックスのその後はちょっと哀れですが、最後はハッピーエンドのお話です。

50年くらい前に書かれた絵本ですが、情報過多で便利な現代にも通じる内容です。残念ながらもう絶版の絵本なので、図書館か古本での入手となるようです。

*『うみべのまちのタッソー』
ウィリアム・タッソー(文・絵)
じんぐう てるお(訳)
らくだ出版(1962年刊行)